2018年01月15日

先生だって労働者

デンマークの法定労働時間は週37時間!

比較的、長時間労働とされる教師の労働時間も週40時間だそう。


一方、日本では小学校で週5560時間、

中学校では週6065時間が一番多く、

「過労死ライン」と言われる

80時間以上の残業をしている教師は、

小学校で3割、

中学校で6割もいる

(文科省「2016年度 教員勤務実態調査(速報版)」より)



教師の仕事は授業だけではない。


日本なら授業の準備や保護者への対応、

生徒のフォロー、

職員会議、

研究活動、

さらに地域活動や

部活動もある。



もちろん、

デンマークの先生も

授業以外の仕事がたくさんあるという。


しかし、

日本に比べて、

短い時間で働き、

しっかり休みも取れている。


その秘訣は、


一人で抱え込まず、

みんなで助け合うこと。




今回訪れた学校には、

アドバイザー制度が普及している。


教師とは別に、

読書や数学、IT

専門知識を身に付けたスタッフが数名おり、

生徒や保護者とも

日常的にコミュニケーションをとっている。


教師が指導法に迷ったり、

気になる生徒がいたりした時は、

専門スタッフに相談して

一緒に解決策を探るのだ。




  さらに、


  教師が病気などで急に休む場合に

  代わりに授業をする

  「Vikar(ヴィカー)」という代替職員も存在する。


  これは学校に限らず、

  幼稚園や自治体、企業にも普及していて、

  育休中の人の代わりを務める「育休ヴィカー」や

  研修や職場復帰、パートタイムの役割を担うヴィカーもいるそうだ。




 「先生も労働者」という認識は、

  教師はもちろん、

  生徒や保護者、

  管理者である校長にとっても当たり前だ。


  長期休暇取得は当然で、

  そのためにあらかじめカリキュラムや

  人員体制に余裕を持たせているのだ。


  ほかにも、

  校長と教師、

  生徒、親のコミュニケーションも充実。


  イントラネットで

  普段から情報共有しているため、

  書類の回覧や保管の必要はない。

  会議も最小限。

  教師が部活動の顧問を務めることもない。


法で定められた労働時間を守る意識が

 国民に浸透しているから、

 教師もその範囲内で出来る事に集中し、

 ベストを尽くそうとする。




   “自分の出来る事と

     他人が得意なことを掛け合わせて

     最大の成果を生み出す“


   生徒に教えていることが、
   先生の現場でも活きていた!

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posted by YOKO at 10:11| Comment(0) | 義務教育機関

2018年01月12日

実生活につながる学びの工夫

デンマークの国政選挙の投票率は85%以上。

ちなみに日本は201710月の衆院選で53.6%

ここ5年ほど6割に達したことがない。


デンマーク人の政治参加意識が高い理由は、


・王制を倒して民主主義を勝ち取った歴史

・オンブズマンの存在で政府が透明

・比例代表制で死票がない

・争点が身近で明確

・立候補するのにお金がいらないので10代の議員も誕生

・国会議員の年収は市民と大きく変わらず約900万円、

 地方議員は無報酬。故に汚職がなく政治家が市民に近い―


など、挙げればきりがないが、

やっぱり

「教育」によるところが大きいと思う。


訪れた学校では、

9年生(1415歳)が

近く行われる地方選挙に合わせて

模擬選挙をするという。


授業を担当するのは、

元市会議員の教師。


自治体も

選挙制度を説明する職員を派遣して

授業に協力するそうだ。


生徒たちは

政党や各候補者の公約について

情報を集め、整理、理解する。


そして、

各自が支持政党について

考えを述べ、ディスカッションする。


投票当日は、

コピーした用紙で

校内に設けた疑似投票箱に投票。

普通の選挙と同じように

選挙管理人役も生徒が担い、

結果も授業で取り上げるという徹底ぶり!


1415歳の子が国政の論点を理解し、

意思を任せられる政治家を自ら選ぶ―。


それには、

メディアやインターネットからの情報を鵜呑みにせず、

正しく読み解く力も要求される。


この学校では、

7年生(1213歳)から

メディアリテラシーの授業も行っているそうだ。


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日本では、

教育現場で政治の話はタブー

とされていることもあり、

学校では一般的な制度しか教えない。


結果、

政治が実は生活と密接に関わっていることに

大半の人が気づかず、大人になっているように思う。


デンマークでは、

子どものころから

実社会と結びついた学びを積み上げる。


人任せでなく

自分たちでよりよい国にしよう

と考えるデンマーク人にとって、

年金が消えたのに

10年間も誰も気づかない、

気づいても明るみに出ない

日本の現象はきっと理解できないに違いない。



現地のツアーコーディネーターが、

息子さんが低学年の時に使っていた

教科書を見せてくれた。


その名も「生きた世界」。


新しい土地に越してきた

男の子と女の子が

真っ暗な部屋で画びょうを踏むー。

「痛い」という感覚は何なのか?

動物はどうなのか?


日本の理科に相当する物語調のそれは、

ひたすら生活に結びついていた。


何のために勉強するのかが一目瞭然!


「よりよく生き抜くためだよ」と、

教科書が語り掛けている気がした。


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2018年01月11日

グループで最大の成果を出す方法とは…

デンマークの授業の進め方は、

生徒たちがお互いに考えあい、

協力しながら学習する

というグループワークのスタイルが多い。


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代表的な授業は、

約2〜3週間かけて

一つの映像作品を創り上げるというプロジェクト。


脚本を書く子、

役者をする子、

監督をする子、

カメラで撮影する子、

デジタル編集する子・・・と、

求められる才能や役割はさまざま。


みんながそれぞれ得意分野を生かして参加でき、

大きな達成感を得られるという。



  ポイントは、

  自分だけができても評価されない点。


  チーㇺのためにいかに得意分野を発揮し、

  その結果、

  チームのパフォーマンスが

  どれほど上がったかが評価の焦点となる。



  だから、

  自分が得意なこと、

  友達が得意なことをよく理解して、

  どう掛け合わせたら最大の成果が出せるか。


  逆に、

  最大の成果を出すためにはどの子と組めばいいのか、

  この課題を解決するためにはどの子に頼めばいいのだろうか・・・。


  そんなことを自分たちで考えながらプロジェクトを進めていくそうだ。


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  先生も、生徒一人ひとりの才能を見出し、

  その特技に本人が気づく機会を与えることを大事にしている。


  勉強は苦手だが、パソコンスキルが高い子には、

  低学年の授業のパソコンアシスタントに抜擢したり、


  自閉症の子には、

  学校へ来るお客様にお菓子を配ってお出迎えする役を頼んだり。


  他人から感謝される体験が

  子どもたちの自信につながることを知っているから。




  グループワークは日本の学校でも取り入れられているものの、

  評価の仕方が課題となっている。


  ダイバーシティーやインクルージョンの土台が育たなければ、

  大人になってビジネスの現場で役立てることは難しいだろう。



  近年、いろいろな企業でイノベーションを起こすために、

  多様な文化や背景、個人的な特質を持った人を

  組織に迎えているが、

  結局、多様な人材を揃えても

  現場でその能力を生かしきれない

  という問題が生じている。



  デンマークのグループワーク授業に、
   解決のヒントが詰まっているような気がした。
posted by YOKO at 11:11| Comment(0) | 義務教育機関