デンマークには、
他の国の言葉に置き換えられない
独特の概念を表す言葉
「Hygge(ヒュゲ)」がある。
人と人とのふれあいから生まれる
温かくて居心地の良い空間や時間
という意味らしい。

森の幼稚園にある
丸太と鉄板でできた馬の遊具や、
板切れを組んだ海賊船、
低い天井と緑化した平屋根が印象的なお昼寝小屋。
これらはみんな、
園児の保護者が
先生たちと一緒に手作りしたそう。
「教育熱心で、時間もあって、
子どもに手をかけられる親の集まりなのかな?」
と思いきや、
大半の家庭が共働きだという。
実際、この幼稚園では
授業参観や運動会などの行事は皆無。
朝食も昼食も幼稚園で提供されるし、
日本では欠かせない連絡帳もない。
先生と保護者のやり取りはSNSだ。
デンマーク人の価値観がはっきり見えて
面白いなあと思う。
日頃の保育の成果を見せるために
わざわざ時間を割くのは
もったいないと感じているのだろう。
でも、
子どもが一日の大半を過ごす
幼稚園の遊具を
みんなでワイワイ言いながらつくる時間は
積極的に確保する。
遊具をつくるひとときは、
きっとヒュゲなのだろう。
子どもたちは、
そんな親の姿を見て
幸福感に包まれるに違いない。
そして、欲しいものは
つくればいいとも学ぶ。
デンマーク人は、
自分にとっての幸せが何か
をよく知っていて、
そのためのアイテムは少しで十分だ
ということも分かっているように思う。
だから、
必要ないアイテムは
あっさり手放せるのだ。
自動車に150%の税金がかかるなど、
お金を稼いでも
ほとんど手元に残らない社会システム
故に生まれた「Hygge」ともいえるが、
身近なところに幸せを見出し、
等身大で生きる姿には
学ぶところが多かった。